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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

紋平谷〈中津川市付知町〉

 紋平のいる菓子上は、昔から水が少なくて田植えができなんだり、田んぼが干上ったりして、毎年水不足で苦しみました。
 今年もまた水がなくて水争いが起きました。
 みかねた紋平は雨乞い棚に雨乞いに出かけました。
 頂上に着くと、雨乞いの長いお祈りをし、少し早いが昼飯を食って、裏山をおりて浦回りで帰ることにし、下ると熊笹が邪魔して、行き先が全く掴めず引返そうと思ったが、小さな谷がみつかり、この谷を行けば昔と通ったことのある東股へ出られると思い、そこを降りていくと川がありました。
 川に沿って下りながら登り口を探していると違った水音がしてそこにも谷が見えてきました。
 登っていくと大きな洞穴がありました。もう帰れそうもないので、ここで一晩泊まろうと決めて、洞穴の中に腰を下し休みました。
 夜になり、眠ろうとしましたがなかなか眠れません。夜が更けると、いつの間にか深い眠りにおちました。
 どれくらいたったか・・・。突然誰かが松明をともして川を渡り、谷を登って紋平の方へ向かってきます。大勢の人がそれぞれ松明をかざし紋平を迎えにきました。
 いっぺんにあたりが明るくなり、みんなで大きな焚火を囲んで、歌ったり、踊ったり、それはそれは面白そうです。
 気がついた紋平がよく見ると、もう、とっくに亡くなった親類の人や、近所の人たちにとり囲まれて・・・。
 それから七年たって、この谷の大岩の下に白骨が見つかりました。そこにおいてあった笠でその人は紋平とわかり、それから、人々はこの谷を紋平谷と呼ぶようになりました。
参考文献『付知の民話』


【解説】
雨乞い=日照りが続いたとき、雨が降るように神仏に祈ること。夏の季語、「雨乞ひも甲斐なき月の小村かな」
「句仏」雨乞い小町=小野小町が勅命で雨乞いの和歌を詠み、その功徳で雨が降ったという伝説。長唄・浄瑠璃・歌舞伎などの題材になっている。(「大辞泉」より)