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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

赤鬼の面〈中津川市加子母〉

 坊の父親は働き過ぎて死んでしまい、坊は母親と二人暮らしでした。母親はよその畑の草取りや、裁縫の仕事をして米やみそを買って暮らしておりました。
 正月も近づいたので、毎晩夜なべをして一生懸命ためたお金を坊に渡し、餅米を二升買って来るように頼みました。
 坊は久しぶりに町に出て来たので、あちらこちらと見て回り、前から欲しい欲しいと思っていた赤い鬼のお面を買ってしまいました。家へ帰って母親にその話をすると、母親は泣いて怒りました。
 「そんな子は家に置くわけにはいかんで、どこへなりと行くがいい」
 外へ突き出すと、戸をぴしゃっと閉めました。坊は仕方なく山に登って行きました。山奥へ行くと、向こうに明かりが見えるので、そちらの方へ行ってみると、家がありました。
 「どうか一晩泊めて下さい」と頼むと、「どうぞどうぞ」と奥へ案内してくれました。
坊は寝つけないので、大勢の話声が聞こえる部屋の方へ行ってみると、「今夜はあの子供を殺して、その肉で酒を飲もう」と相談しているのでした。
 坊は怖くなりましたが逃げ出すことも出来ず、お面を被って寝ていました。すると、一人が障子に穴を開けて坊の寝ているのを見ていましたが、急いでみんなの所へ帰ると、「あいつは子供でなくて赤鬼で、牙をむいて今にも飛び掛って来そうだぞ」と言ったので、みんな大慌てで逃げ出しました。
 これは泥棒の家だったので、お金や餅など沢山忘れて行ったものを全部風呂敷に包んで、坊は家へ持ち帰り、母親と幸せに暮らしたということです。
文/小川 元庸(岩村町)


【解説】
 この物語は「花咲か爺」や「三年寝太郎」など全国的に親しまれている有名な昔話に匹敵するくらいに筋立てのしっかりした昔話である。紙数の関係で、粗筋だけになってしまったのが残念である。