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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

坂折峠の早合点〈中津川市蛭川〉

 織田信長が本能寺の変で死んでから、各地で豊臣方についたものと、徳川方についたものとの間で、小さな戦争が続いていました。
 兼山城の城主森長可は大勢の家来を引き連れて、遠山友忠の守る苗木城をめざして、攻めてきました。
 その軍勢が坂折峠にさしかかったとき、苗木方の鉄砲の名人、小池忠兵衛、喜三郎の2人が待ち構えておりました。
 森長可はまだ苗木は遠いと油断して、ゆうゆうと馬に乗ってやって来ました。
 小池兄弟はねらい定めてズドンと射ち放ちました。森長可はバタリと、馬から転がり落ちました。
 「やあやあ小池兄弟が、敵の大将森武蔵守長可を討ち取ったり」と、大声で名乗りをあげ、苗木城へと帰って行きました。
 大将の森長可は馬から落ちはしましたが、かすり傷ひとつ負っていませんでした。
 1発の弾丸は馬の鞍壺に当たって打ち割り、もう1発は馬のしり上をかすっただけでありました。
 森長可の軍勢はすぐに、小池兄弟を討ち取ろうと追いかけましたが、見つからず、「今日はさい先が悪い」と兼山城へ帰って行きました。
 それからも、2度、3度と苗木城を攻め、とうとう城を攻め取り、小池兄弟を見つけ出すと、その家族までも、処刑したということです。
 どんな場合も、よく確かめもしない早合点はいけないというお話です。


【解説】
 森長可は森蘭丸の兄で、後に小牧・長久手の戦いで戦死する。遠山友忠は城を取られてしまったが、江戸時代になって再び一万石の苗木城主となる。蛭川村を望める位置に、坂折峠があり、森の軍勢は木曽川に沿って北側を通り、久田見からこの峠にさしかかった。