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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

牧戸の山の金茶釜〈中津川市加子母牧戸〉

 今から千年ほども昔のお話です。武士たちは源氏と平家に分かれて激しい戦いをしていました。それが壇ノ浦の戦いで、平家の中心の武士たちが敗れてしまい、源氏の世の中になってしまいました。全国各地にいた、平家の一族は、見つけられると次々と殺されてしまいました。
 東濃地方は深い山々があって、隠れ住むには絶好の場所です。平家の一族がこっそりと夜中に逃げてきて、牧戸のあたりに住み着き、農業や狩りをして生活をはじました。貧しいながらも、みんなで力を合わせて働くのは楽しいものです。
 男の人は川や、山奥へ入って獲物を捕らえ、年寄りや女の人は木の実を取ったり、畑に作物を植えたりしました。
 ある雪の降った日のことです。平家の人々がここに隠れて住んでいるということを、役人に告げたものがあって、突然役人たちがやって来ました。
「広場に集まれ。確かめるだけで命は助けてやる」と、大声で触れてまわりました。
 それで平家の一族たちは、武器ももたないで広場に集まりました。すると、まわりを取り囲んだ役人たちは槍で、集まった人々を突き殺しました。「さては騙されたか。卑怯もの」と叫んでも、後の祭りでした。集まった人々は全員殺されてしまいました。
 山奥へ薪を拾いに行っていた娘は嘆き悲しいみましたがどうしようもありません。
 位牌を農家に預け、金の茶釜にお金などは、また来たときのために、山に穴を掘って隠しました。そうして、どこへともしれず立ち去って行きました。


【解説】
 位牌を預けた農家は「万才池」という家名でよばれている。「朝日さす 夕日ささない 木のもとに 金の茶釜に 金いけるなり」という、金の茶釜などを埋めた場所を示す短歌が、今に残されている。

左の写真は山深い牧戸地区