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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

三匹の狐〈中津川市中津川〉

 中津川宿に三匹の狐がいました。一匹目は駒場のこでの木の下に住む、こでの木小次郎。二匹目は西生寺の大銀杏の下に住む、銀杏のお夏。三匹目は前山の麓の宝幢寺の榎の下に住む宝幢寺どじべえ。三匹とも化けるのが上手で、大層いたずら好きでした。
 村人たちは狐のいたずらにたまりかね、こらしめてやろうと、小次郎を中津川の川原に呼び出しました。川を挟んで人間と狐の化かし合いです。審判の声が「一つ、おかめ」「一つ、ひょっとこ!」「ひょっとこってどんな顔してたかなあ」向うでは人間がひょっとこに化けています。「一つ、鬼!」「おら鬼なんて見たことない」「さあ、降参したか」すると小次郎は身を躱し、「化かし合いは騙し合いだ」と、あちらへ跳びこちらへ跳び、とても捕まりません。人間が化けたのはお面を被ったのです。
 三匹は西生寺の庭で歌ったり踊ったり、銀杏の葉を大きな尻尾で散らかしたり、大事な松に爪の跡をつけたりしました。お年寄たちは油揚のお供えもしなくなりました。
 三匹はぷりぷり怒り、中津川の水に病菌を流しました。
 町に病気が流行りだしました。そこで裸武兵に頼んで、病人の家を回ってもらいました。すると病気は治り人々は大喜びです。
 狐たちは西生寺の洞穴で「裸武兵は怖いよ、怖いよ」と小さくなって、震えていました。
 それからというもの、こでの木小次郎のお小姓姿も、美しい銀杏のお夏の娘姿も、宝幢寺どじべえの大入道も見なくなったということです。


三匹の狐が集った中津川市本町の西生寺
【解説】
裸武兵=一年中ふんどし一本で過ごす。中津川宿の駕籠屋。あるとき疫病神と友達になり、武兵が来たら疫病神が逃げて行くという約束をする。大名のお姫様の病気を治したことで町中の評判になる。今でも中津川の旭丘公園にこの裸武兵が祀ってある。