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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

家を追われた嫁さん〈中津川市苗木〉

 昔、嫁に来て3年たっても子ができんと、家を追い出されることになっていました。 安子という嫁は夫を大事にし、しゅうとめ(夫の母)のいう事はよくきくし、朝早くから夜遅くまでよく働く、村一番の嫁でした。
 それが、3年たっても子ができません。「おれは今でもお前が好きだ。お前は行く所がないのも知っとる。だけど、世間が許さんで、かんべんしてくれ」
 安子は金や食べ物を沢山もらって出て行きました。
 村外れに来ると、1人のお婆さんに出合いました。「やっぱり追い出されたのか」といい、「村外れに付知川がある。その川を少し上がった所に、お不動様がある。お不動様を拝みなされ。毎日拝めば願いが叶えられるかもしれん。そばにほら穴がある。そこに住めばよい」と教えてくれました。
 安子はほら穴に住み、お不動様を拝みました。村人達は安子の話を聞いて、食べ物を運んでくれました。幾日かたつと、安子は村人達に心配をかけるので、穴から出たいと思いました。すると、何となくすっぱいものが食べたくなってきました。おばあさんは、「それはめでたい。お不動様が願いを叶えて下さったのじゃ」と、村中に知らせました。
 夫もしゅうとめもかけつけて、安子は無事家へ帰ることができました。
 それから安子は子どもを生んで、一家は楽しく暮らしたそうです。
 安子の住んでいた洞穴を、村人は安子穴と呼んで、今も、お不動様にお参りする人が多いそうです。


【解説】
不動明王=五大明王、八大明王の主尊。大日如来の命をうけて、魔軍を撃退し、災害悪毒を除き、煩悩を断ち切り、行者を守り、諸願を満足させる。右手に利剣、左手に縄を持ち岩上に坐して、火炎に包まれた姿で、怒りの形相に表す。両眼を開いたものと、左眼を半眼にしたものとあり、牙を出す。制吐迦・矜羯羅の二童子を従えた三尊形式が多い。(「大辞泉」より)