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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

おしょうろ様〈中津川市手賀野〉

 仏様に供えものをするときは、うどんとか、おはぎとか、一ぺん一ぺん新しい箸にかえる。今は麻がらは買ってくるけど、戦時中は供出せんならんで、どこでも麻は作っとった。
 きゅうりは馬やげなで、さっさと歩く。茄子は牛やげなで、ゆっくり歩く。そいで送りは茄子で作る。足は麻がら。
 かたぶいちまって、四本の足がなかなか、いいぐわいに揃わん。ささげの葉は三枚ついとるで、塩と味噌と山椒の実を包んで、じょうぶい草でしばる。二つずつ作って、振り分け荷物にして、牛にまたがせる。
 夕飯に進ぜた、したじをかけんうどんを、鞍にして、その上へ振り分け荷物の真中を乗せるわけ。
 夜食にお茶めしを進ぜて、昔は本当は、十二時過ぎて、十六日になってから、お精霊流しをやったけど、まあ七月十五日の夜、十時頃になると、「おしょうろ様送ってこか。」といって、松明と線香を持って、西川の橋へいく。松明は松の根のあかしをちょうなで割って作る。
 「さあ、みんなで一緒に行かんしょや。」と言って流いてやる。松明が燃えとるうちぐらいは、晩方作っておいた送り団子を交換して食べたりしながら、そこで話をしておる。新生活運動で川をきれいに、物を流いちゃいかん、ということになって、お精霊流しは廃った。お先祖様のことを思い出いて、子供も一緒に馬を作ったり、流いたりすることはいいこっちゃと思うけど。


【解説】
 16日の朝、早く行って、前日流したお精霊様の野菜を拾い集める。いかきを持って行って、きゅうり、ささぎ、ただいも、茄子など、引っかっているのを持って来る。きゅうりや茄子は漬けもんにしておく。十三日新仏の出た家では、お墓から家まで百八体の松明を道の両くろに点す。今はろうそくを点す。