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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

かん助の松〈中津川市神坂〉

 高野山城の近くに、背の高い、枝ぶりの良い松がありました。この松の高い枝に登って敵が攻めて来るのを見張るのが、かん助の役目でした。かん助は三人ばかりの家来を引きつれてやって来ると、家来たちは木の下に残して、自分は松の木に登って四方を眺めます。
「湯舟沢や神坂峠までよう見えるわい」「おい、かん助、てめいだけいい気になっていばっておらず、おれにも見せろよ」と家来が下から見上げて言います。
 でもかん助は「おれは見張りの大将だ。俺さえ登っていればいいのじゃ。てめいらは役にたたんわい」と木の上でいばっています。
家来たちは、ある日、相談して、かん助が帰っていった後、かん助が登れないように枝を切ってしまうことにしました。
斧を振り下ろしたが、はね反って切れません。もう一度振り下ろすと、「ドドド・・・」と音がして、切り口から赤い血が吹き出しました。
家来たちは真っ青になって逃げ帰りました。
 その後細野の人たちはかん助の松を切ると音がして、血を吹き出すと誰も手を出しませんでした。
 明治四十年頃、台風で枝が折れ、かん助の松の姿が悪くなったので、切ろうと言う話が出ました。隣村の末吉という人が「この世に祟りなんぞあるものか」と言って、枝を切りにかかりました。すると「ドドド・・・」と音がして、切り口から赤い血が吹き出しました。
 末吉は驚いて逃げ帰り、家へ帰ると寝込んでしまいました。


【解説】
 神坂の湯舟沢に細野というところにあり、昔は東山道が通っていた。
 かん助の松は伊勢湾台風の時に吹き折れてしまい、今では株だけが残っている。