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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

白い犬〈中津川市神坂〉

 昔、景行天皇の子で、大和で一番強い、日本武尊という人がいました。東の方の国々を攻めて、大和に従うことを誓わせてらの帰り道、ミコトは信濃の国(長野県)から神坂峠を越えて、美濃の国(岐阜県)に出ようとしましたが、そのあたりは大変に険しい山道で、なんとか峠にたどりついたものの、疲れてしまったので、食事をとって休むことにしました。
 その様子をみていたこのあたりの山の神はミコトがどんな人間なのか試そうと思い、白い鹿になってミコトの前に立ちました。
 「これは怪しい。」と思ったミコトは手に持っていた蒜(大蒜=ニンニク)を投げつけ、それが鹿の目に当たり、ばったりとたおれてしまいました。
 すると急にあたり一面に霧が立ちこめて来て、道が分からなくなってしまいました。ミコトが困り果てていると、どこからともなく1匹の白い犬が現れ、ミコトの前を歩いていきました。ミコトは、この犬の後からついて行ってみようと思い、どこまでもどこまでもついて行ってみると、無事に、美濃の国に出ることができたのです。鹿に化けてミコトを試した山の神が、白い犬となって道案内をしたのでした。
 それまで神坂峠を越えようとする旅人の多くが、山の神のせいで病気になったりしたのですが、ミコトが蒜を投げつけられたこと以来、蒜を噛んでその汁を体に塗って通ると、無事に峠が越えられるようになったということです。それでここを昼神(蒜噛み)というようになったのでした。


【解説】
 神坂峠。中津川市と長野県阿智村の境にある。標高1,595メートル。東山道最大の難所。
 弘仁6年(815年)最澄が峠の両側に宿を設けた。峠の手前約3キロ、標高約1,100メートルの地点に涌き水「強清水」があり、岐阜県の名水50選に指定されている。