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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

阿木の屏風岩〈中津川市阿木〉

 昔むかしのことです。空に真っ黒な雲が立ちこめて、太陽がまったく顔を出さず、真っ暗闇で、何年も黒い雨が降りつづいていました。太陽が長く照りつけると夏になり、夜が長いと冬になるくらいですから、太陽が全く顔を出さないと、世界中が寒くなって、一面に氷が張り、草も木も枯れ、人々は凍った動物の肉を食べ、油を燃やして暮らしていました。
 そういう人々が集まって暮らしているムラの中で、「オギャーオギャー」と、赤ちゃんの元気な泣き声がします。生まれたのは女の子で、冷たい風や雪をよせつけない大きな岩の蔭に体を横たえて「アア、安気(楽)だわ。」と言いました。そのときです。ピカッと、稲妻が光り、天地がひっくり返るような、ものすごい雷が何度も何度も鳴りわたって、空をすかり覆っていた黒い雲がやっと裂けました。そうして何年ぶりかで太陽が顔を出したのです。
 その光の中で生まれたての女の子はキラキラと輝いて見えました。「この子は日の神様にちがいない。」と人々は言いました。
 女の子は天照大神という神様さまで、生まれた場所は安気(中津川市阿木)と名付けられました。実際そのころはお母さんは赤ん坊を生むと体が弱って、じきに死んでしまえうのでしたが、このお母さんは後にも何人も赤ちゃんをお生みになりました。
 お母さんが体を横たえて十七日間を過ごした言われる大岩は、屏風岩と呼ばれて、いまでもちゃんとありますよ。


【解説】
 天照大神はイザナギ(天神)とイザナミ(地神)の間に生まれた。〔岩波・日本古典文学大系〕その胞(へその緒など)を埋めた所が恵那山となり、血を洗った所が「血洗いの池」で、かって土砂で埋まり、今は血洗神社が祀られている。屏風岩は道路工事で移動したが、岩の表面に古代文字(ペトログラフ)が刻まれている。アギは古代韓国語で赤ん坊、実りの意味。