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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

万里走る車〈中津川市加子母〉

 昔々、竹坊という子がいて、いつも徳じいの家の縁側に日向ぼっこに来ていました。「竹坊、お前はええ夢を見たら、俺に売ってくれると、約束したな。どうじゃゆうべは」と言ったら、「ゆうべの夢は、全くええ夢じゃったで、誰にも話せんわ」と言いました。すると徳じいは怒って、竹坊を縄で縛って馬草桶に入れて、裏の河原に首だけ出して埋めました。
 竹坊が大きな声で泣いていると、山の上の方から赤鬼と青鬼が降りてきて、「どうした。何をしていけられた」と言いました。竹坊が今までの事を話すと、鬼は「その夢をおらに話せ」と言うので、「掘り出いてくれたら話す」と言いました。
 鬼は鉄の棒で掘り出して、「そら話せ」と言うと「お前の家へ行って話す」と言うので、鬼の岩屋へ連れて行って、「そら話せ」と言うと、「ここには宝物が沢山あるえな。一遍見せてくれたら話す」と言うので、宝物の庫へ連れて行き、これは千里走る車、これは万里走る車、それから死ぬ薬と生かす薬と言って見せ、「それ話せ」と言うと、一寸の隙に竹坊は二つの薬を懐に入れ、万里走る車に乗って走り出しました。気付いた鬼が千里走る車で追ったが追いつけません。
 遠い所まで逃げて来て、車を降りると立派な家がありました。飯を頼んで食べていると、奥の部屋で人々が泣いているので、わけを聞くと一人娘が死ぬかも知れんというので、生かす薬を娘に振り掛けました。すると急に元気が出て、二・三日で元の体になり、竹坊も大変喜ばれそこで働くことになりました。
 陰日向なく働いて家の人に見込まれ、娘の婿になり、一生を送りました。


夕焼けに染まる中津川市加子母
【解説】
 よく似た話では「夢買い長者」の話がある。「夢買い長者」は夢を買う方である。「万里走る車」は一万里と、規模がでかい。字数に制限があるので、話をかなり切り詰めた。従って面白さも半減した。