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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

四つの化物〈恵那市東野〉

 ある夜、六部(六十六部のこと)が誰も住んでいない、村から離れたお寺に泊まりました。「東林の馬頭」と誰かが夜中に呼びました。「西竹林の鶏鳥」と、西の竹薮の中から、「万年生きた池の亀」と池の中から、「縁の下のデックリ坊」と縁の下から声がして、四つの化物が本堂へ上がっていきました。
 本堂には青い火がつき化物たちは車座になって宴会を始めました。
 「ちょっと待て、人の臭いがするぞ」と、化物たちは捜してみようといい出しました。すると亀が「まあ、まあ、落ち着けよ。人間臭いのは、昼間きた人間の臭いが残っておるでじゃわ。ゆっくり酒を飲もまいか」。「そういやあ、そうかも知れん」と、みんなはまた酒を飲み始めました。
 夜明け前に化物たちは、自分の巣へ帰り、六部は朝になると村へ行って、昨夜のことを村人たちに話しました。村人たちは六部と一緒に寺へ行くことにしました。
 東の方の林の中を捜すと馬の頭が見つかりました。鉈で首を切ると、黒い血がたらたらと流れてきて、死んでしまいました。
 西の方の竹薮の奥には、年をとった大きな鶏がおりました。みんなで捕まえて絞め殺しました。お寺の縁の下へ入ってみると、大きな古い丸坊主の人形がおりました。鉈で切ると、血が出て死にました。
 池の中の掻い掘りをすると、底に大きな亀がいました。すると六部が「この亀は私の命を助けてくれた恩人やで、殺さないで下さい」と言いました。村人たちは池を元通りにして、亀を逃がしてやりました。それからはお化けは出なくなりました。


雨に煙る東野地区
【解説】
 潮来(いたこ)は利根川の三角州で水郷地帯。むかしは舟で田植をしたという。今では農地改革により、そういう深田はなくなった。