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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

だじゃの松〈恵那市三郷町〉

 だじゃの松という、面白い名のついた松がありました。これは三郷町殿畑の峠にある一本の松のことです。今ではこの松は枯れてなくなってしまいましたが、村のお年寄りは、昭和の初め頃まで、大きな松が道端まで枝を出し、幹の太いところは、子供二人でやっと抱えられるぐらいもあったと言います。
 この道は岩村へ往来する大切な道で、昔は大勢の旅人が行き来したものです。
 この松が「だじゃの松」と言われるわけは、次に述べるように方言のためです。
 椋実、山岡のほうでは、特に言葉の後に「こうだ」「そのようだ」「遊ぶだ」「行くだ」と「だ」の字をつけて話をします。
 峠の反対側の佐々良木の方では、言葉の後に「じゃ」をつけて「こうじゃ」「そのようじゃ」「遊ぶじゃ」「行くじゃ」といって話をします。
 西側の人たちは「こうじゃ」「そのようじゃ」「遊ぶじゃ」「行くじゃ」などと「じゃ」の字をつけて話をしながら峠を登っていきますと、東側の人たちは「こうだ」「そのようだ」「遊ぶだ」「行くだ」と「だ」の字をつけて話をしながら峠を登って来ます。
 こうして峠の一本松の下で「だ」という言葉使いの人と「じゃ」という言葉使いの人が出会ったとき、「久しぶりだなも」「久しぶりじゃなも」と挨拶を交わしたものです。
 こんなわけで、いつの間にか、この一本松のことを「だじゃの松」と言うようになったということです。


【解説】
 松が枯れた後には、記念の碑が建てられ代わりの松が植えられている。
 方言は国の手形といわれるように、いろいろな方言がありますが、恵那地方から西の人たちは良いということを、「ええなぁ」と言います。これに対して伊那地方の人たちは良いということを「いいなぁ」と言います。これが関東と関西の方言の分岐点かと思われます。