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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

備中田〈恵那市中野方町〉

 今から二千年も昔のことじゃ。そのころは神様もわれわれ人間の前に姿を現しておいでになった。われわれ人間も、神様にもっと気楽にいろんなことをお願いしたり、神様のお諭しをいろいろしたもんじゃ。
 その頃、農業の神様を「備中神」といってお祭りしておった。
 備中神さまは、田植えをする頃になると山から下りてきて田の神様になり、秋の稲刈りが終わる頃までおいでになり、稲刈りが終わると、また山へお帰りになって、冬中山でお過ごしになる。
 神様が降りて来られたり、山へ戻って行かれたりするところは「よりしろ」といってな、大きな岩か、背の高い木があったりするのじゃ。中野方にも神様がおいでになる大きな岩があって、人々はその岩のところへ行って、いろいろお願いしたり、神様のお諭しを聞いたりしたのじゃ。
 ところが、ある年のこと、雨がちっとも降らず水がなくて、田植えができん状態になった。
 岩のところへ行ってみると、備中神様はまだ山からおいでになっていない。みんなは困って「神様、どうか早く来て下さい。水がなくて田植えができません。雨を降らせて下さい」と、お祈りしたんじゃ。
 備中神様は、みんなの祈る声を聞き「ややっ、これはしまった。寝過ごした」と、急いで岩の上へ降りてこられた。あんまり急いだものだから、飛んで降りた岩の上に足跡がついてしまった。その足跡は、八の字型に今もくっきりと残っているじゃ。


【解説】
 岩のあるところの田を備中田とよんだ。1辺の長さが8.6メートルの正方形の建物があったらしい礎石が今も残っている。太古の人々が祈りの対象とした。ピラミット形などの巨石に絵文字が刻まれたもの、ペトログラフが笠置山の頂上まで、一定の距離をおいて続いている。