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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

戦前の幼稚園〈恵那市明智町〉

 朝早い子は7時頃から遅い子は9時頃に、風呂敷に包んだ弁当を1つ持って、近所の子と一緒に登園します。親に送って貰う子などいまぜん。行きたい日に、行きたい子だけが行くのです。
「先生、お早ようございます」
「はい、おはよう」これで、先生の頭の中の出席簿に〇がつくのです。
 9時頃、仏間の前の部屋に並んで、きちんと正座します。朝の挨拶のあと、先生は仏様の前に座り、お経を上げられます。皆も意味は分からないけど、手を合わせて一緒に唱えます。
 その後は、少しお話があり、時には手を叩きながら1から100まで数えたりしました。それからお昼までは自由です。
 運動場の真ん中には大きな柿の木がありました。運動場は、その柿の木の枝がおおっているほどの広さでした。柿の木は夏は葉が茂って日影を作り、冬は葉が落ちて日当たりをよくし、快適な場所を作っています。
 運動場の隅にブランコが3つと鉄棒がありました。先生が見に出てくることは一度もありませんが、喧嘩などありませんでした。
 お昼は遊戯室で、長机を四角に置き、その周りに正座していただきました。大きなヤカンでお茶が出ましたが、熱からず、ぬるからず、丁度よい温度でした。3時まで自由です。
 3時から遊戯室へ集って、先生が昔話や紙芝居をして下され、時には壁に貼ってある50音を「アイウエオ」「アカサタナ」と練習しました。これで幼稚園の1日が終り、「先生さようなら」「皆さんさようなら、又明日」


子どもたちの幼稚園カバン
【解説】
 柿の木は夏に花を散らせ、紐に通して首飾りにしたし、落ち葉は紙に貼って絵にした。青柿は落ちるとままごとの道具になるし、熟するとおやつになる。3時のおやつに煎餅1枚とあめ玉1個が出ることがある。
「先生、〇〇ちゃんが私をいじめるよ」と訴えても先生は「おお、そうか、そうか」と言うだけで、叱ったりしなかった。
参考文献『思い出ばなし』