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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

偽使者石川五右衛門〈恵那市岩村町〉

 大盗賊石川五右衛門が一つだけ良い行いをした事が伝わっています。
 豊臣氏天下の頃、岩村の城主は田丸中務大輔でありました。大輔には嫡子と庶子の二人の男子がいました。大輔が病になり二人の間で相続争いが起こりました。
 庶子は実は悪家老倉元甚五右衛門と城主の妾との子でした。倉元は庶子に家督を継がせて実権を握り、田丸家をつぶし、倉元家が城主になるよう企てました。
 これを知った中務大輔は小姓の金森林念に家督相続の遺言状を預けて間もなく亡くなりました。
 金森林念は困りはてて、この相続争いの一切を関白豊臣秀次に申し出ました。
 秀次は大輔の遺言を実行するために福原団七郎を岩村城に送り、争いを解決させることにしました。
 ところが、このことを知った石川五右衛門は福原の家臣を抱き込み、岩村の源吾坂で福原団七郎を殺して福原になりすまして城内に入りました。
 この偽使者の所へ悪家老倉元は金銭を差し出し自分に有利に取り計らうように頼みました。
 一旦宿舎に戻った五右衛門のところへ小姓の金森がひそかに訪ね、倉元の悪巧みの一部始終を話し、是非大輔の遺言が実行されますようにと頼みました。
 次の日、もう一度城内に入った五右衛門は倉元を散々利用して金を巻き上げてから、家臣一同を大広間に集め、倉元の悪巧みをすべて話しました。話し終わると「用事があるので」と、さっさと城から逃げ出しました。
 家督は無事に嫡子に受け継がれ、倉元は処刑されて、騒動は静まりました。
参考文献『いわむら昔ばなし余話』


【解説】
嫡子=本妻(正妻)の子で家督を相続するもの。よつぎ。
庶子=妾腹の子。嫡子以外の実子。そし。
家督=相続すべき家の跡目。また、跡目を継ぐべき子。嗣子。長子。相続=あいつぐこと。受けつぐこと。先代にかわって戸主となること。跡目をつぐこと。(『広辞苑』より)