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ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

なぶり仏〈恵那市串原〉

 むかし、弥太郎という子どもがおりました。
 おじいちゃんの子で、いつもおじいちゃんのそばを離れず、おじいちゃんに甘えてばかりいました。病気がちで、しょっちゅう熱が出たり、おなかが痛かったりして、体もやせておりました。
 天井板の節が、人間の目のように見えるといってはこわがって夜も眠られず、暗いところには魔物がいるといっては、夜は1人で便所にも行けませんでした。
「こんなことで丈夫に育つだろうか」と家族はみんな、弥太郎の行く末を心配していました。
 そんなある時、串原村に「なぶり仏さま」というものがあって、子どもがその仏様をいじると健康になると、教えてくれる人がありました。
 弥太郎は早速おじいちゃんに連れて行ってもらいました。なぶり仏は薄暗い観音堂の中に、いくつも、並んでいて、みんな恐ろしい顔をして、弥太郎を睨んでいました。
「イヤだ、イヤだ」と、弥太郎はさからいましたが、おじいちゃんは、無理矢理弥太郎の手を一体の仏様の上へ載せました。弥太郎は慌てて手を引っ込めましたが、仏様はカタカタと動いただけで、何も起こりませんでした。それからは、弥太郎は仏様が怖くなりました。次々と全部の仏様をいじりました。
 そのことがあってから、弥太郎はあのたくさんの仏様たちが、自分の体の中に入って、守ってくれているように思い暗いところも怖くなって、外でよく遊び、夜はよく眠る、元気な子どもになりました。


【解説】
十王仏=冥土で亡者を裁く10人の王。亡者は順々に各王の裁きを受け、来世の場所を決められると言う。閻魔王もその1人である。外に2体の中国の仏像があり、全部で12体の木像がある。もとは木根の観音堂にあったが、今はコミュニティーセンターに保管されている。