HOME > ひがしみの昔話 >

ひがしみの昔話

ひがしみの昔話

三森山のカリト岩〈恵那市岩村町〉

 岩村で一番高い山は三森山で、1,103メートルあります。ここに登ると、よく晴れた日には遠くの伊勢の海が見えます。また、御嶽山はもちろん、北の方には加賀(石川県)の白山も見えます。山の上には三森神社という神様がおまつりしてあります。
 昔岩村の殿様が大勢の家来を引き連れて、この神社へお参りにやって来ました。
 登り道は急な坂道ばかりで、たいへん疲れていましたし、その日はとてもいいお天気で遠くの方までよく見える、すばらしい景色でした。殿様はお参りする前に、「まず酒をもて!」と、家来に命じました。
 持ってきたたくさんのご馳走が並べられ、殿様は大きな盃で酒を呑み始めました。
 はるかかなたの森を指さし「あのあたりまでが我が領地か?」と家来にたずねました。
 「なんのなんの、まだまだ向こうでございます」
 「こちらの方はどのあたりまでか?」
 殿様は自分の領地の広いことで、ますます御機嫌になり、どんどん杯を重ねました。
 「ああ、いい心持ちになったわい。では神様にお参りしようか」
 そこで、家来がお城から持ってきたお供えの入ったカリト(箱)に近づいて見てびっくりしました。なんと、カリトの蓋が開いていて、中は空っぽで、おまけにカリトが岩になっているのではありませんか。
 殿様は神様にお参りする前にお酒を呑んだことがいけなかったと気がついて、神様の罰が当たるのを恐れて、もう一度お参りのしなおしをしたそうです。
 この「カリト岩」は、今でも三森山の山頂付近にあります。


中央が三森山
【解説】
 「いわむら昔ばなし余話」に掲載されている話。
 400年近くも遠山氏の平和な統治の時代が続いたので、この物語はその平和な時代の様子をよくあらわしている。
 三森山は山頂が3つにわかれているので、3っつ盛りの意味である。