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恵那山麓の草花

恵那山麓の草花

JAひがしみの管内で最高峰の恵那山は標高2,190m。恵那山麓は南方系植物の北限と北方系植物の南限と言われ、豊かな植生を持っています。山麓に自生する草花を紹介します。

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ア行
アケボノソウ【リンドウ科】

 山地の水辺にはえる2年草です。花は白色で、花冠裂片には多くの黒点があり、これを夜明けの星空に見立てて、この名がつきました。
 また、黒点のほかに2個の淡緑色のはん紋があり、ここから蜜を分泌します。
 写真下部の花にはこの蜜をもとめて数匹のアリが集まっています。


アキノキリンソウ【キク科】

 日当たりのよい山野の草地に生え、茎は下部が紫黒色となり、高さ35〜80cmで細くて強い。
葉は表面にまばらに毛があり、裏面は無毛です。
 この地方では、標高300m位〜1800m位の高地まで広く分布しています。意外かもしれませんが、嫌われ者のセイタカアワダチソウもアキノキリンソウ属の草花です。苦みが強いですが、食用にしたり薬草として用いられることもあります。

アリアケスミレ【スミレ科】

 4月のうららかな日、坂本二軒家の池のそばに群生しているのを見つけました。藤色の花が株になって咲く様は豊満で、これから繰り広げられるはなやかな季節を予感させます。スミレは種類が多く、山渓ハンディ図鑑『日本のスミレ』には200種近くが収録されており、私たちの周りでもすぐに数種が見つかります。

イタドリ【タデ科】

 生息地を失う植物が多いなかで、舗装の切れ目や山の崩壊地にいち早く侵入するのは「虎杖」と書くイタドリです。乾燥した根は薬効があるといわれ、イタドリの語源は「痛みどり」に由来しています。若い茎は食用に、固くなった茎は空洞を利用したり、工夫して小道具に使われたりします。ままごとの材料にしたり水ぐるまを作るなどして、子どもに遊ばせたい植物です。

イチヤクソウ【イチヤクソウ科】

 下向きに白い花をつける姿は恥じらうようです。一薬草と書き、血管拡張、リウマチ、打撲、傷、虫さされほか多くの薬効があります。麓の薄暗い林内の腐葉の多い所に見られ、高い所にはよく似たコバノイチヤクソウやマルバノイチヤクソウが生えます。
 花期は6月〜7月頃、草丈は15〜25cmです。

イヌゴマ【シソ科】

 野や山の湿りけのある場所に生え、茎はシソ科の特徴である四角で下向きの堅い毛があります。
花の形は唇形で上下ふたつに分かれ、色は淡色です。
 果実の形はゴマに似ていますが食べられません。植物の世界ではイヌは役に立たないものに使われ、イヌナズナ、イヌタデなどがあります。

イヌセンブリ【リンドウ科】

 湿り気のある明るい草原に生える2年草です。深く裂けた花びらは、白色に淡紫色のスジを付けて咲きます。中に虫を呼ぶ2つの蜜線があり、その周りには長い毛がたくさんあります。
 この花には苦味がなく薬用にされないことから、「犬」の名が頭に付けられていますが、可愛い花です。
絶滅危惧種に指定されていますが、背の高い多年草に覆われてしまうと、消えてなくなります。草刈りなど適度に人の手が入り続けることによって守られるのですが、この先どうなるでしょう。

イボクサ【ツユクサ科】

 水のたまった休耕田にによく生えています。残暑のかんかん照りの下、笹に似た葉が生い茂って暑苦しいですが、落とし物のように散りばめられた花はピンク色でかわいい。汁をつけるとイボがとれるというのは真偽不明。花はきれいなのに名前で損をしています。雄しべにはが密生しているのが特徴。

イワウチワ【イワウメ科】

 野草とは思えないような優美でロマンティックな花姿に驚きます。葉はうちわ型で先端が少しへこみ、やや青みを帯びます。恵那山では標高500m以上に植生。数は多くありません。
花期は 4月頃、 草丈は5〜10cmです。

イワカガミ【イワウメ科】

 亜高山帯の山の斜面や、岩場に多く生える常緑の多年草です。だ円形の葉はやや厚く光沢があって、古い手鏡に似ることから名がついています。
 地を覆うように生える葉の間から花茎を伸ばし、先端に紅色の美しい花がかたまって咲きます。花は途中まで5裂し、ふちは細かく裂けて束ねた房のようです。
 静寂な山道で下を向き、鮮やかな顔を鏡に写している姿に出会うと、疲れを忘れてしまいます。

イワタバコ【イワタバコ科】

 山中の日の当たらない、湿った岩壁に生える多年草です。しわのある根生葉が、硬く丸まって冬を越し、夏にはつやのある葉となって垂れ下がります。紅紫色の花が茎の頂にうつむいて付き、盃状に開く形が可憐です。岩壁に生え、葉がタバコの葉に似ていることが名の由来になっています。食用、薬用、観賞用等いろいろに利用される草ですが、自生地は減る一方です。

ウメバチソウ【ユキノシタ科】

 山野の湿地に生える多年草です。長い柄に1枚の丸い葉が茎を抱き、その頂に白い5弁の花が上向きに開く、1茎1花の草です。
 雄しべは5本の他に、花粉を出さない掌状の仮雄しべがあり、糸状に裂けた先に小さな球(腺体)がつきます。この球の数によって名前が分けられています。
 花が咲く前の丸いつぼみも愛らしく魅せられるが、他国でも「湿原の星」といわれる可憐な花です。

エンレイソウ【ユリ科】

 山地の林内にはえる多年草で、和名は「延齢草」と書きます。輪生する3枚の葉の中央に、紫かっ色の花1個を咲かせ、普通花弁はなく3枚のがく片が果時まで残っています。当地方には、良く似たミヤマエンレイソウが自生しており、この花にはかならず花弁があって白色(希に淡紫色)です。共に4〜5月に咲きます。

オオイヌノフグリ【ゴマノハグサ科】

 白い小さな花のハコベと伴に、まだ雪の残る大気冷たい早春に花開きます。
ルリ色の花は、愛らしく、巡り来る春の喜び、幸せを歌っている様です。
 ヨーロッパ原産で、明治初期に渡来し、今では全国的に広がり、田の土手、畑、道端等で見かける越年草です。葉のわきに1個づつ花を付け、花冠は、7〜10cm、花後は果実を抱きます。

オオキンケイギク【キク科】

 北アメリカ原産の多年草で、5〜7月頃咲きます。もともと栽培されていた植物です。近年、道路側面の緑化工事などで植えられたものが野生化し、ときに大群落の美しさで、新聞紙面を賑わせます。美しいというものはの、外来植物が進入する機会が増え、古くからの在来植物が住み場所を失っていく事は、仕方のないことでしょうか。

オオマツヨイグサ【アカバナ科】

 漢字で大待宵草と書く北米産の帰化植物です。俗に月見草とも言われますが、本当のツキミソウは白花で同じアカバナ科の別種です。
 夏の夕方になるとふくらんだ蕾がよりをよりを解く様に動いて四枚の花びらが開ききる時「ポンッ」とかすかな音を立てます。花は黄色で夕方咲いて翌朝しぼむ一夜花です。
 花後に四片のさく果をつけ、その中に細かい種子を作ります。
 多くの詩歌に歌われ、夏の風情に情緒を添える花ですが、最近は、ごく限られた所でしか見ることができなくなりました。

オトコエシ【オミナエシ科】

 丘陵地や草原に、晩夏から秋にかけて咲く多年草です。秋の七草の「オミナエシ」に良く似ているが、オミナエシよりたくましく野生味があります。よく枝分かれした茎の先に、白い小花を集めて咲きます。
女性は粟を混ぜた黄色の「女飯(おんなめし)」男性は白い米の「男飯(おとこめし)」を食べさせる封建時代の名残から付けられた名前です。「めし」が「えし」に変わったとされています。粟飯の方が滋養は高いと思うが、当時、お米は今よりもっと貴重だったんですからね。

オミナエシ【オミナエシ科】

 秋の七草のひとつで女郎草と書きます。日当たりのよい山野の草地に生え、茎の頂に多数の黄色の花が集まって、平らな花房となり、8〜10月に咲きます。黄色の花を栗飯に例え、栗花ともいい、日本全土に分布する多年草です。似たものに男郎花があり、花は白く林の中にも生え茎の毛が多いので容易に見分けられます。

オヤマボクチ【キク科】

 日当たりの良い草地に生え、草丈は1〜1.5mくらいです。花はアザミに似ているが、葉にトゲがなく、大きな葉はゴボウに似ています。
 夏、赤紫色の花を柄の先に付け、小さなトゲのある「苞・ホウ」で囲まれ、晩秋まで姿を残しています。
根茎や葉は食用になり、むかしはタバコの代用にもされました。葉の裏の綿毛を乾燥させて、火打石から火を 移し取るのに使ったため、「火口・ホクチ」といい、山のホクチが名の由来となっています。