栗園と新規就農者をつなぐ「園地流動化」

 JAひがしみのや恵那農林事務所等で構成される「東美濃クリ地産地消(商)拡大プロジェクトチーム」は、後継者のいない高齢のクリ農家と、クリの新規生産者を橋渡しする取り組み「園地流動化」の仕組みづくりを進めている。2018年度はモデル的に実施され、1件が成立。今後は取り組みを定着させ、産地の維持・拡大と新規生産者の初期費用の削減に繋げる目的だ。7月25日に開かれた現場説明会にはクリ園の借り手希望者ら14人が参加した。
同事務所の試算によると、クリ栽培を新たに始める場合、造成から苗木植栽など収穫を開始するまでに10㌃当たり約60万円の費用がかかる他、収穫までに4年程度必要となる。同JA管内のクリの生産者で構成される東美濃栗振興協議会超特選栗部会の平均年齢は73歳と、近年高齢化が進んでいる。同JAや同事務所がクリの生産者を対象に実施したアンケートでは「後継者不足や高齢により園地の管理が今後困難」といった回答が寄せられ、今後10年以内に栽培面積が半減してしまう可能性も示された。
このような課題を解決するため、同チームが昨年度から仕組みづくりを開始。本年度は、貸し手と借り手による双方のニーズを把握し、より円滑なマッチングを実現するため、各地区によるクリの振興会の役員会等でさらなる情報提供を呼びかけてきた。今回の現場説明会では園主による意向が話され、同事務所がクリ園の概要を説明。参加者から「昨年度のクリの収量はどれくらいか」「悩みを相談できるクリの生産者は近くにいるか」「剪定で立て直しが必要な樹はあるか」等が園主に質問された。
現場説明会を経て、今後は同事務所が仲介役となり、面談の場を設ける。農地中間管理事業の適用や農業委員会を通して、9月~10月に農地の利用権設定を行う予定。
同JA営農販売戦略課は「園地を借りた新規生産者には営農指導等を行い、しっかりとサポートしたい。この取り組みを通して、生産者を確保し、産地としての維持・伝承、耕作放棄地の解消となれば」と意気込む。