へんび神様〈中津川市中津川川上〉
川上の上の畑という所に大きな洞穴があって、そこには大蛇が住んでいるということだったが、誰も見たものはありません。
ある年の梅雨に入った日のこと。天の底が抜けたかと思うほど、激しく雨が降り出しました。
たった一日で川上川の水は、川岸の草も木もへし曲げ、渦を巻きながらごうごうと流れます。
二日目も少し小降りになりましたが雨はやみません。三日目に川上の人たちは恵那権現や焚けの越の水神様へお参りに行きました。もちろん上の畑の大蛇にもお祈りをしました。
四日目になると、天にとどけとばかり鉦や太鼓をたたき、大蛇の洞穴にはひとかかえもある大きな餅を供えたりしました。
五日目も雨はやみません。
ある年の梅雨に入った日のこと。天の底が抜けたかと思うほど、激しく雨が降り出しました。
たった一日で川上川の水は、川岸の草も木もへし曲げ、渦を巻きながらごうごうと流れます。
二日目も少し小降りになりましたが雨はやみません。三日目に川上の人たちは恵那権現や焚けの越の水神様へお参りに行きました。もちろん上の畑の大蛇にもお祈りをしました。
四日目になると、天にとどけとばかり鉦や太鼓をたたき、大蛇の洞穴にはひとかかえもある大きな餅を供えたりしました。
五日目も雨はやみません。
六日目の夕方、雨がぴたりと止み、雲の切れ目から夕日さえ射してきました。みんな外へ出て思い切り背のびをしました。
そのときです。「グオーン」という音と共に地面がゆれだし、目の前の山がゆらゆらとゆれだしました。
黒い牛が何万頭も一度に走り出したように迫ってくる蛇抜けでした。
みんなは下へ下へと逃げました。すると突然「ピカッ」と稲妻が光ると同時に「ドシャ―」と天地が裂けるような音がしました。
同時に蛇抜けがぴたりと止まりました。
周囲を見回すと三つの小山がぽっかりとできているではありませんか。その山が動きだしたと思うと、その動きもぴたりと止まりました。
「あっ大蛇様や。大蛇様にちがいない」「そうだわ。大蛇様が身を投げ出してわしらを助けて下さったんや」と、口々に感謝の気持ちを話し合いました。
参考文献/『中津川のむかし話』
そのときです。「グオーン」という音と共に地面がゆれだし、目の前の山がゆらゆらとゆれだしました。
黒い牛が何万頭も一度に走り出したように迫ってくる蛇抜けでした。
みんなは下へ下へと逃げました。すると突然「ピカッ」と稲妻が光ると同時に「ドシャ―」と天地が裂けるような音がしました。
同時に蛇抜けがぴたりと止まりました。
周囲を見回すと三つの小山がぽっかりとできているではありませんか。その山が動きだしたと思うと、その動きもぴたりと止まりました。
「あっ大蛇様や。大蛇様にちがいない」「そうだわ。大蛇様が身を投げ出してわしらを助けて下さったんや」と、口々に感謝の気持ちを話し合いました。
参考文献/『中津川のむかし話』
【解説】
今でも川上から広岡へ越す街道の両側に、二つの小山が見られ、この頂上には「へんび神様」が祀られ、ヘビの頭と言われる小山がある中津川上の集落はモチ穴と呼ばれている。
「帰りにまだおったら切ってしまうぞ」春木おろしに行く若者が通りかかってそういっていきましたが、帰りにもまだ大蛇が寝ていたので、とうとうよきで切り殺されて、木曽川に流されてしまいました。