山岡町の細寒天生産最盛期
岐阜県恵那市山岡町で、全国生産量の8割を占める細寒天の生産が最盛期を迎えた。同町の9社が加盟する県寒天水産工業組合によると、12月の温暖な気候から、前年より1割少ない100㌧を見込む。農閑期の田んぼ一面に並ぶ寒天は、町の風物詩となっている。
同町の細寒天の生産は1931年からはじまった。山に囲まれた盆地で冬は夜間に氷点下5~10度にまで下がり、降水量も少ない。この気候風土と、天日乾燥できる水田をもつ稲作農家いことが生産を後押しした。
寒天の原料はテングサ。水に漬けてあくや色素を抜き、洗浄して釜で煮る。煮汁をろ過し、型枠に流し込んで固め、羊かん状に切る。これを「天筒」と呼ばれる5ミリの網目の専用用具に入れて、よしずの上に突き出す。その上に削った氷を振りかけ、昼間の乾燥と夜間の凍結を繰り返し水分を蒸発させる「凍(い)てとり」と呼ばれる作業を約2週間繰り返し乾燥させる。
同組合の桝五寒天商会は地元の小学生や日本の大学に通う外国人を対象にところてんの突き出し体験などを開催。地域に古くから根付く文化や伝統を伝えている。佐々木淳二代表は「テングサの高値が続き、後継者不足も課題となるが、今後も絶やすことのないよう、続けていきたい」と力を込めた。