どっこいしょ〈恵那市東野〉
男の子がおばさんの家へ行って、だんごをご馳走になりました。「うまい、うまい」と言って、食べました。
「おばさん、こりゃあ何ちゅうものじゃえ」
「これはなあ、だんごちゅうもんじゃ」
「そんなら、家でおっかさまに作ってもらお」
「おっかさまも知っとらっせるに」
男の子は帰ろうとして草履を履くとき「さっき食べたものは何ちゅうものじゃったえ」
「もう忘れちまったかよ。だんごじゃに」
家へ帰る道を「だんご、だんご、だんご」と言いながら歩いていきました。
家に近いところに溝がありました。溝を飛び越すときに、「どっこいしょ」と、思わずかけ声をかけました。それからは「どっこいしょ、どっこいしょ」と言って帰りました。
「おばさん、こりゃあ何ちゅうものじゃえ」
「これはなあ、だんごちゅうもんじゃ」
「そんなら、家でおっかさまに作ってもらお」
「おっかさまも知っとらっせるに」
男の子は帰ろうとして草履を履くとき「さっき食べたものは何ちゅうものじゃったえ」
「もう忘れちまったかよ。だんごじゃに」
家へ帰る道を「だんご、だんご、だんご」と言いながら歩いていきました。
家に近いところに溝がありました。溝を飛び越すときに、「どっこいしょ」と、思わずかけ声をかけました。それからは「どっこいしょ、どっこいしょ」と言って帰りました。
「おっかさま、どっこいしょを作っておくれんさい」と、男の子が言いました。
「えっ、どっこいしょ、何じゃよ、それは。私はそんなものは知らんけどなあ」
「おっかさまが知っとらっせると、おばさんは言っとらしたに」
「どっこいしょなんちゅうもんは知らん。表へ行って遊んでこい。じっきに夕飯じゃに」
男の子は表へ出て行きましたが、じきに泣いて帰って来ました。
「転んで、こぶができた」と額を見せました。
「なるほど、こりゃあ、だんごみたいな、いかいこぶじゃ」
男の子は急に泣きやみ、にっこり笑って「おっかさま、どっこいしょじゃのうて、だんごじゃった」
「そうか、だんごか。だんごなら、たんと作ってやるで」と、大笑いされました。
「えっ、どっこいしょ、何じゃよ、それは。私はそんなものは知らんけどなあ」
「おっかさまが知っとらっせると、おばさんは言っとらしたに」
「どっこいしょなんちゅうもんは知らん。表へ行って遊んでこい。じっきに夕飯じゃに」
男の子は表へ出て行きましたが、じきに泣いて帰って来ました。
「転んで、こぶができた」と額を見せました。
「なるほど、こりゃあ、だんごみたいな、いかいこぶじゃ」
男の子は急に泣きやみ、にっこり笑って「おっかさま、どっこいしょじゃのうて、だんごじゃった」
「そうか、だんごか。だんごなら、たんと作ってやるで」と、大笑いされました。
【解説】
この話は以前に絵本か、何かで見たような気がする。副題に「ひょいとこさ」と書いてあるところをみると、あるいはここが話の作られた原点で、それが遠くへ広がっていったのかもしれない。地の文も方言で書いてあったものを標準語に直した。